公開日:2022/09/30
最終更新日:2023/11/02

GPS打刻とは?勤怠管理でGPS打刻を利用するデメリットや活用事例をご紹介

GPS打刻とは

GPS打刻機能がついた勤怠管理システムを導入したいけど、どういった機能があるのか、デメリットはなにか気になっている方も多いのではないでしょうか。
GPS打刻は、 スマートフォンやタブレットなどのGPS機能を使用し、勤務時間の打刻を行うものです。
営業で社外に行く機会が多かったり、テレワークと出社のハイブリッドワークだったりする場合、GPS打刻機能があると正確な勤務時間を管理できます。
しかし、正しい運用方法でGPS打刻を使用しないと、プライバシーの侵害になる可能性があるので注意が必要です。
本記事では、GPS打刻の導入例やデメリット、裁判になったケースなどを詳しく解説していきます。

勤怠管理システムの「GPS打刻」とはどんな機能?

GPS打刻は、スマートフォンやタブレットなどのGPS機能を使用し、出社や退勤の打刻を行える機能です。
出張や営業での外回りといった場合でも、正確な勤怠状況を把握できます。
例えば、出退勤の場所と時間を正確に把握できれば、 従業員は外回り時の打刻が手間なく行えます
さらに、位置情報を使用するため、勤怠管理者は各従業員が営業先から直帰した場合でも、正確に勤務状況を管理できるのがメリットです。

 

GPSでどこにいても正確な勤務時間を把握できる

GPS機能を活用することで、従業員がどこにいても正確な勤怠状況を把握できます。
自己申告の場合、実際は労働時間ではなくても労働中と申告できてしまいますが、GPS打刻を使用することで、不正を防止できます。
具体的には、営業先や自宅など、あらかじめGPS打刻を使える範囲を設定しておくことで、不正打刻を防止可能です。
そのため、外出先やテレワークで業務を行っている従業員の勤怠状況を正確に把握したいのであれば、GPS打刻が必要になるでしょう。

 

従業員のスマートフォンで利用できる

GPS打刻の利用方法は、従業員のスマートフォンに勤怠管理システムのアプリをダウンロードし、位置情報の送信をONにするだけです。
会社用のスマートフォンが配布されている場合は、機種やOSを統一できるので端末によって利用できないという問題は起きません。
しかし、GPS打刻だけのために会社用スマートフォンを購入するのはコストがかかるため、まずは数台を用意してみましょう。
実際の使用例としては、会社用のスマートフォンを数台だけ用意し、勤怠管理システムのアプリをダウンロードし、使える状況にしておきます。
そして、出張や営業のときに持ち出して利用するといった方法を取るほうが、大きなコストもかからないため現実的です。

 

GPS打刻のデメリットは?

時計の上に座って悩むビジネスマン

GPS打刻は、正確な勤務時間を把握することで正しい給与計算が行えますが、デメリットも存在します。
例えば、端末のバージョンによって使えなかったり、OSやアプリのアップデートが必要になったりといった問題があります。
さらに、屋内や山中では位置情報が取得しづらいといった問題もあるため、使用できる場所が限られるのも気にしておきたい点です。
また、従業員のプライバシーを侵害してしまう可能性もあるため、導入は慎重にしなければなりません。
ここからは、GPS打刻によるデメリットについて、詳しく解説していきます。

 

端末やバージョンによっては利用できない

GPS打刻は主に従業員が持っているスマートフォンやタブレットに勤怠管理システムのアプリをインストールして利用します。
このとき、全員がスマートフォンを持っているとは限らず、 端末が古くて対応していない場合があるため、注意が必要です。
また、新しいスマートフォンを持っていたとしても、iPhoneやAndroidなど、機種の違いによって利用できないこともあります。
そのため、勤怠管理システムをダウンロードする場合は、対象の従業員が持っているスマートフォンの機種を事前に調べておくようにしましょう。
もしくは、出張や営業のときだけ持ち出す用として、会社用のスマートフォンをいくつか用意しておくのもおすすめです。

 

OSやアプリのアップデートが必要になる

勤怠管理システムの対応バージョンによっては、スマートフォンのOSをアップデートする必要があります。
例えば、OSのバージョンが極端に古い場合、勤怠管理システムのアプリをダウンロードできないことがあるため、更新しなければなりません。

また、アプリについてもインストールしたら終わりではなく、定期的にバージョンアップが発生します。
アップデートせずに古いバージョンのまま使い続けてしまうと、勤怠管理システムが動作しなくなる可能性があるため、定期的な更新は必要です。
そのため、なるべく従業員には、OSやアプリを定期的に更新するように周知しておきましょう。

 

屋内では位置情報を取得しづらい

GPS打刻は、 屋内や高層ビルの密集する場所だと電波の通りが悪く、位置情報を取得できないことがあるため、利用場所に注意しなければなりません。
GPS打刻で位置情報を取得できないときは、事前にどのように対処するか決めておくと良いでしょう。
具体的には、打刻時に理由を記述したり、勤怠管理システムに備わっている日報機能の活用したりなどがあります。
また、そもそも地下や山間部などは電波が届かないこともあるので、同様に位置情報を取得できない可能性があります。
事前に取得できない場所に行くとわかっている場合は、GPS打刻以外の打刻を検討するようにしましょう。

 

プライバシーの保護に配慮する必要がある

GPS打刻の機能を使うためには、スマートフォンの位置情報を設定でONにする必要があります。
そのため、従業員の中には、位置情報の取得を不快に思う方がいるかもしれません。
しかし、GPS打刻は 出退勤の打刻時にのみ位置情報を取得するものなので、常に位置情報を取得するわけではありません。
事前に、位置情報は打刻時のみ取得していると従業員に説明しておかないと、「常に位置情報を取られている」と勘違いされることがあります。
位置情報を取得する目的は、あくまで正確な給与計算のために勤務時間を把握することだと、利用目的をしっかり話しておきましょう。

 

GPS打刻は実際にどんな目的で使う?

GPSのマッピング

GPS打刻の実際の利用目的は、外出先での勤怠時間を正確に把握し、正しく給与計算をするために導入することが一般的です。
会社に出社せず、直行直帰で仕事をする場合、通常の出退勤時間とは異なります。
また、テレワークを自宅のみで許可している場合にも、位置情報を取得して、業務開始場所が自宅であるかどうかを把握する目的で使用されることもあります。
このように、GPSにて位置情報を取得する目的は、あくまで業務に関係するときだけということを必ず周知しておきましょう。

 

外回りのときの勤務時間を正確に把握するために使用する

外回りのときの勤務時間は、直行直帰の場合には正確な時間を把握できないといった問題があります。
そのため、従業員の自己申告制ではなく、GPS打刻を使用して正確な勤務時間を把握するために使用されるのが一般的です。
例えば、営業先から直帰する場合、 営業先で打刻するのか、帰宅途中の移動時間に打刻するのかで、退勤時間は異なります。
どこまでを勤務時間としてカウントするのかは会社によって異なりますが、どちらにしても正確な勤務時間を取得したいのであれば、GPS打刻は有効です。

 

テレワークは自宅のみとする場合に使用する

テレワークは自宅のみとして、業務をしている場所を確認するためにGPS打刻が使用されることもあります。
働き方改革の推進により、テレワークでの業務に対応している会社が増えており、自宅やコワーキングスペースで仕事をする方も多いかと思います。
しかし、自宅以外で業務を行うと情報漏えいしてしまう可能性があるため、テレワークは自宅のみと限定している会社も多々あります。

例えば、第三者の多いカフェやコワーキングスペースで業務をしてしまうと、仕事内容が筒抜けになりやすいといった問題があげられます。
また、会社のパソコンを無料Wi-Fiにつないでしまうと、アカウントのログインIDやパスワードが漏えいしてしまう可能性があります。
故意ではなくても、 ちょっとした気の緩みで顧客情報が流出してしまうことは十分に考えられますので、GPS打刻はリスク対策にもなります。

 

GPS打刻によって裁判になったケース

GPS打刻は、位置情報の取得を行うため、使い方を間違えてしまうとプライバシーの侵害といった裁判になってしまう可能性があります。
実際に起きた判例では、従業員に事前に通達せずに、時間外労働の申告が正しいものなのか、管理者がGPSを使って勝手に位置情報を取得したケースがあります。
結果は、 事前にGPS情報を確認する旨を従業員に通達せず、時間外労働時のGPSを勝手に取得したため、会社側に慰謝料の支払いを命じられました。
これは、位置情報を取得するタイミングは「業務時間内」と決められているにも関わらず、「業務時間外」に使用したため、会社側の問題となっています。
また、従業員に何も知らせずに勝手にGPS情報を取得した点でも、問題と指摘されていました。
そのため、GPSを使って位置情報を取得する際には、必ず事前通達、もしくは該当する従業員に相談することが重要です。

参考元:企業の労働問題解決ナビ

 

GPS打刻でトラブルを発生させないためには?

GPS打刻でトラブルを発生させないために、まずは従業員の了承を得るようにしましょう。
就業規則に記載するといった、従業員がいつでも見られる位置に記載しておき、時間外労働の確認のために使用する場合には、事前に相談するようにします。
従業員から了承を得られたらGPS打刻での位置情報の取得ができる、という認識を持っていれば、トラブルが発生しにくい環境を作ることが可能です。

また、勤怠管理システム側で、 打刻時の位置情報しか取得しないよう設定するのも重要です。
実際の勤怠管理システムでは、打刻時の位置情報のみ取得していますが、システムによって設定内容は異なるため、事前に確認しておきましょう。
もし、システム側で設定しないと常に位置情報を取得できてしまう場合は、打刻時のみになるよう設定が必要です。
たとえ実際には確認していなくても、確認できること自体が違法となる可能性が高いため、注意しましょう。

 

GPS打刻の機能にはどのような違いがある?

はてなを囲むビジネスマン

GPS打刻といっても、さまざまな機能のシステムが販売されているため、どれを選んだら良いのかわからない方も多いかと思います。
同じGPS打刻でも、それぞれの勤怠管理システムによって機能差があり、利用可能なデバイスやOSが異なります。
さらに、GPS打刻を使える範囲が制限されているものや、不正打刻防止機能として、カメラ撮影機能が搭載されているものなどさまざまです。
ここからは、勤怠管理システムによって異なる、GPS打刻の機能差について詳しくご紹介していきます。

 

利用可能なデバイスやOSのバージョンが異なる

勤怠管理システムによっては、スマートフォンの機種やOSバージョンの差異で対応していないことがあります。
そのため、デバイスやOSの情報が、導入したいスマートフォンと一致しているのか事前に確認しましょう。

さらに、GPS打刻のアプリが、タブレットに対応しているかどうかも、勤怠管理システムの種類によって異なります。
iPadに対応していたとしても、Androidのタブレットには対応していない場合があるので、注意しなければなりません。
対応しているデバイスやOSのバージョンは、勤怠管理システムによって変わるため、まずは実際の環境で利用できるかどうか確認するようにしましょう。

 

範囲制限やカメラ機能が搭載されているものもある

指定した範囲でのみGPS打刻が行えるように設定できる勤怠管理システムもあります。
例えば、GPS打刻を使用する目的が、「テレワークのときに自宅で仕事しているか確認するため」といった場合は、この機能を活用できます。

また、GPS打刻を使って位置情報と打刻時間を取得したとしても、打刻したのが本人かどうかまでは把握できません。
しかし、勤怠管理システムによっては、打刻時にカメラを起動させて、誰が打刻したか確認できるものもあります。
ただし、従業員によっては不快に思う可能性があるため、可能な限りモチベーションの低下につながらないよう心がけることが重要になります。

 

その他の打刻方法や給与計算ソフトとの連携性も確認しておこう

GPS打刻を使用する目的は、正確な給与計算を行うために、勤務時間を把握する手段として使われることが多いです。
そのため、GPS機能が優れていても、その他の打刻方法や給与計算ソフトとの連携性が悪いと本末転倒になってしまいます。
GPS機能付きの勤怠管理システムを選ぶときは、必ずその他の打刻方法や既存システムとの連携性も確認しておきましょう。

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打刻した位置情報をマップ上にマッピングする機能を使っているため、プライバシーにも配慮しています。
出退勤の打刻だけでなく、有給や残業まで、さまざまな申請をスマートフォンから操作可能です。
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柏倉優

Webマーケティングの経験を経て、2021年6月に株式会社ITCSへ入社。 記事の企画・執筆・デザイン・アクセス解析まで幅広く担当。 皆さんに「それが知りたかった!」と思ってもらえるような情報を提供できるよう、日々勉強しています。

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監修者

吉田薫

資格:元全日本能率連盟認定マネジメント・コンサルタント
銀行員、コンサルティングファーム、会計系FASなどを経て2021年株式会社ITCS入社、経営企画室長。
これまでに戦略、業務改善、財務、情報システム、M&A、リスクマネジメント、CSRなど幅広い業務・テーマに従事。
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執筆者

柏倉優

資格:Webライティング能力検定 1級
クラウドシステムやソフトウェアの記事作成を中心としてライター歴7年・編集長歴5年の経験を積んだ後、2021年6月に株式会社ITCSへ入社。
現在はManageブログの編集長として、人事・総務・経理の業務を効率化するためのお役立ち情報を発信しています。